◆IL DIVO◆ 五線譜でたどる音楽の歴史 K: 14,15世紀の器楽

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Music History in Examples. From Antiquity to Johann Sebastian Bach (Otto Hamburg) / Instrumental Works of 14c. and 15c.
URL : http://papalin.yas.mu/W711/#M011

  ◇公開日: 2014年3月19日
  ◇演奏時間: 9分8秒
  ◇録音年月: 2014年3月
    上のアルファベットの曲目名をクリックして、
    Papalinの音楽室でお聴き下さい。




オットー・ハンブルク(Otto Hamburg)著による『五線譜でたどる音楽の歴史(Music History in Examples. From Antiquity to Johann Sebastian Bach)』に掲載された楽譜を用いて演奏しています。

【K: 14,15世紀の器楽】

41. トリスタンの嘆き
   Lamento di Tristano


最古の独立した器楽曲が舞踏音楽であったことは確かであり、それは主として即興演奏によるものであったが、幸い2,3の曲が筆写されて今日まで残っている。「トリスタンの嘆き」は1400年頃にイタリアで筆写された写本中に出てくるが、「ヴィエラ」(viella)用と推察される最も有名な一群の詩的、描写的舞曲のひとつである。この曲は、3つの「プンクトゥム」からなるエスタンピーであるが、これまた3つのプンクトゥムからなる変奏「ロッタ」(La Rotta)がその後に続いている。

ヴィクター・イケホウト(Victor Eijkhout)さんによるアレンジで、この曲を知りました。微妙に音が異なっているのは、解釈に違いがあるからと思われます。



42. 「心をこめて」
   Mit ganzem Willen

  42-1. 「心をこめて」 (ロッハム歌曲集より)
     Lochamer Liederbuch; Mit ganzem Willen

  42-2. 「心をこめて」 / コンラート・パウマン
     "Mit ganzem Willen" / Conrad Paumann (1410/15-1473)


この曲の出典であるパウマンの「オルガン演奏の基礎」(Fundamentum Organisandi、オルガン・タブラチュア)は、オルガにストのための作曲・演奏入門、つまり器楽による旋律装飾法に関する教則本である。これはロッハム、またはロッハイム歌曲集(Lochamer [Locheimer] Liederbuch, ドイツ・リートとドイツ初期ポリフォニー史料の中で最も重要なもの)中に入っていて、その写本の46ページから"Fundamentum organisandi magistri Conradi Paumanns Ceci(caecus=盲目の) de Nurenberga, anno 1452"という表題で始まっている。パウマンは、ロッハイム歌曲集中の火曜「心をこめて」を自作のオルガン曲の素材として使用したが、一か所を除いてバス声部に使われている。

こちらも、別の音楽史の本(音楽之友社 『ピアノ音楽史』 (アーペル))に掲載され、以前に演奏しています。今回演奏し直したのですが、記憶に遠い以前の演奏とよく似ていて、自分でも驚きました。


43. 「ああ、女王様」
   Salve Regina

  43-1. グレゴリウス聖歌 マリーアへの交唱「ああ、女王様」 ≪引用≫
     Gregorian chant, Antiphon "Salve Regina"

  43-2. オルガン曲「ああ、女王様」
     Organ composition on "Salve Regina" / Arnolt Schlick (c1455-1525)


ラインプファルツ出身の盲目のオルガにスト兼オルガン作曲家シュリックは、グレゴリウス聖歌の旋律(マリーアへの交唱「ああ、女王様」)を同じ表題のオルガン曲に利用した。このオルガン曲は、シュリック編の印刷オルガン・タブラチュア本「いくつかの讃歌のタブラチュア」(Tabulaturen etlicher Lobgesang, Mainz, 1512)の第1曲で、模倣的な傾向のある4声部の曲である。シュリックは、この譜本以外にも初めてドイツ語で出版されたオルガン製造に関する論文「オルガン製造者とオルガニストの規範書」(Spiegel der Orgelmacher und Organisten Speyer, 1511)を書いている。

鍵盤楽器の特徴を活かして、装飾音は幅広い音域に渡っていますね。



44. 「プレアンブルム」 (ブクスハイム・オルガン曲集より)
   Buxheimer Orgelbuch; Praeambulum


ブクスハイムのカルトジオ修道院で発見されたドイツ式オルガン・タブラチュアによる譜本と、ロッハム歌曲集を照合すると、一致するところが非常に多いので、両者には何らかの関係があったものと考えられる。けれどもまた「ブクスハイム・オルガン曲集」(Buxheimer Orgelbuch, c1460)にはロッハム歌曲集をオルガン用に編曲したもののほかに、ここに取り上げた「プレアンブルム」を含む自由に作曲された27曲のオルガン曲も入っている。プレアンブルムというのは、調性または音域を予示するために用いられた短い即興的前奏曲であって、経過句や和音が主体となっている(これは晩年のトッカータの特色である。譜例80,84参照)。発見された場所にちなんで「ブクスハイム・オルガン曲集」と名付けられたこの写本は、前奏曲やトッカータなどの分野に関する重要な参考資料となっている。

演奏を聴いただけでは、平凡な感じかと思いますが、楽譜は上声のメロディと、伴奏の2声部で書かれています。下の2声部は音が上下に逆転して行き来していて、ホモフォニックな伴奏をつけたというのではなく、ポリフォニックな各声部の音の動きに重点が置かれていることがわかります。オルガンでもリコーダーでもそうですが、これをどう表現するかは非常に難しいことだと思います。



45. 「新しい農民舞曲」 (グロガウ歌曲集より)
   Glogauer Liederbuch; Neuer Bauernschwanz


1483年頃に筆写された「グロガウ歌曲集」(Glogauer Liederbuch)は、ロッハム歌曲集(譜例42)と同様に、それにとりわけ内容が豊富で多様なことから、中世後期のドイツのポリフォニーを研究する上で重要な史料となっている。この写本は、ディスカント用、テノール用それにコントラテノール用の3分冊になって残っている。この写本には、声楽曲の他に2,3の純粋な器楽舞曲も書き留められていて、中でもここに取り上げた「新しい農民舞曲」はことに興味深い。最初の部分は4/4拍子であるが、第2部分がそれと対照的に3/4拍子になっているのである。この第2部分は、その位置または先行舞曲との関係(3:2)に因んで、ナッハタンツ(Nachtanz, 後続舞曲)とか、ポロポルツ(Proporz, 比例)と呼ばれている。表題中のシュヴァンツ(Schwanz)という言葉は、回すことを意味するシュヴァンセン(awansen)から派生したものである。

タイトルに"新しい"という言葉のついた曲は、"今までもものとは明らかに異なります"ということを強調していると思います。この「新しい農民舞曲」の場合は、こうした拍子の異なる舞曲が農民の間に登場したのか、あるいは意図的に登場させたということなのでしょう。途中からテンポや拍子が変わるという意味では、パヴァーヌとガリヤルドみたいなものでしょうか。でもちょっと踊り難そうです。



使用楽器

   ソプラニーノ      キュング         ローズウッド
   ソプラノ         モーレンハウエル   キンゼカー
   アルト          モーレンハウエル   キンゼカー
   テナー          モーレンハウエル    キンゼカー
   バス           モーレンハウエル   キンゼカー
   バス           ヤマハ          メイプル
   グレートバス      キュング         メイプル
   コントラバス       キュング         メイプル



Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m


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