◆IL DIVO◆ 五線譜でたどる音楽の歴史 G: アルス・アンティークァ

≪毎日がコンサート本番!≫

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Music History in Examples. From Antiquity to Johann Sebastian Bach (Otto Hamburg) / Ars antiqua (13c.)
URL : http://papalin.yas.mu/W711/#M007

  ◇公開日: 2014年3月16日
  ◇演奏時間: 5分13秒
  ◇録音年月: 2014年3月
    上のアルファベットの曲目名をクリックして、
    Papalinの音楽室でお聴き下さい。




オットー・ハンブルク(Otto Hamburg)著による『五線譜でたどる音楽の歴史(Music History in Examples. From Antiquity to Johann Sebastian Bach)』に掲載された楽譜を用いて演奏しています。

【G: アルス・アンティークァ】

16. オルガヌム:「主のお創りになったこの日」(復活祭日曜日のミサ昇階唱) / レオニヌス
   Organum "Haec dies" (Leoninus)


オルガヌムは13世紀にパリのノートル・ダム楽派のもとでさらに発展した。無名の理論家が1270年頃に書いた文書(Anon.IV, Coussemaker: Scriptorum I, 341ff.)には、パリの有名なオルガニスタ(organista, オルガヌムの作曲家)レオニーヌス(Leoninus)師と彼の「ミサと聖務日課用のオルガヌム大集」(Magnus liber organi de gradali et antiphonario)のことが報告されている。このオルガヌム曲集は、数冊の写本中に部分的に筆写され、今も保存されている。その中で最も重要な写本は、"Firenze, Bibl. Laur. plut.29, 1"である。ここに取り上げた曲から、その作風がわかる。つまり、保続音技法によるポリフォニーの部分とモノフォニーのグレゴリウス聖歌の部分が交互に歌われるのである。前者は独唱者たちによって、後者は聖歌隊によって歌われた。

「ミサと聖務日課用のオルガヌム大集」、見てみたいですね。この曲は別の音楽史の本にも掲載された有名な曲で、私も演奏しています。



17. オルガヌム:「主のお創りになったこの日」(復活祭日曜日のミサ昇階唱) / ペロティヌス
   Organum "Haec dies" (Perotinus Magnus)


レオニーヌスと彼の楽派の作品は、2声であった。前期の無名の理論家は、レオニーヌスの後継者ペロティーヌス(Perotinus)の名も上げているが、このペロティヌスの場合はドゥプルム(duplum, 第2声)にトリプルム(tripulum, 第3声)やクアッドルプルム(quadruplum)も加わって、先輩レオニーヌスたちの2声の作品が3声や4声の作品に拡大されている。ここに取り上げたオルガヌムの場合は、譜例16のペロティーヌスの作品と同じ定旋律があり、ポリフォニーの部分とモノフォニーの部分の交代もそのまま継承されているけれども、「オルガヌム・プルーム」(organum purum, 純正オルガヌム)の場合とは全く異なって、全声部に一定のきちんとしたリズム組織が見られる。ディスカントゥス(discantus)と呼ばれたこのようなポリフォニー構成様式は、ポリフォニーの発展上、決定的な変化をもたらしている。

一か所、2度音程が登場するのですが、本当にその音なのかなと首を傾げています。他の資料もみないといけないのですが、インターネットでは簡単には楽譜を見つけることができませんでしたが、YouTubeでこの曲を歌っている動画がみつかりました。その限りにおいては、どうやらこの音で良さそうです。



18. グレゴリウス聖歌「主を祝福しましょう」
   Gregorian chant "Benedicamus Domino"


ミサと聖務日課の解散のきまり文句は、応唱風に歌われた。ひとりの独唱者が初めの部分「主を祝福しましょう」を歌い、それから聖歌隊が、その応答「神に感謝を」と歌うのである。荘厳な締めくくりをなるこの中世の聖歌は、しばしば新たな歌詞を付けられ、ポリフォニー作曲の素材として使われた。次の譜例19と20は、その例である。

ということで、ここでまたグレゴリウス聖歌が登場したわけです。



19. モテトゥス「主である統治者/すばらしい事だ/主に」
   Motetus "Dominator Domine / Ecce ministerium / Domino"


ノートル・ダム楽派が発展させた諸形式の中で何よりも重要なのは、モテトゥスである。最初はおそらくトロープスの例に倣って、モテトゥス(ドゥプルム)すなわち別の文句(motとはフランス語で言葉の意)の付いた第2声が「テノール」(tenor)と呼ばれたグレゴリウス聖歌旋律の上で歌われた。ここに取り上げたのは、3声の曲であるが、(Benedicamus)Dominoの旋律をテノールとし、それに対してそれぞれ独自の宗教的ラテン語歌詞の付いた別の2声が加えられている。言い換えれば「素晴らしいことだ」という歌詞の付いた「モテトゥス」のパートと、「主である統治者」という歌詞の付いた「トリプルム」が加えられているわけである。

とういうわけで、これは歌ってみないといけません。



20. クラウスラ「主を祝福しましょう」
   Clausula "Benedicamus Domino"


メリスマ様式のオルガヌムの場合、主旋律のメリスマの箇所は、曲全体が極端に長くなるのを避けるために短縮された。つまり、元の聖歌のメリスマの一音一音に対して、さらに上声で長いメリスマの飾りが付けられるような事はなかったのである。そのような個所は自由オルガヌムの部分とは著しく異なっていて、律動的に細分されているディスカントゥス様式の前兆であった。このように作曲された部分は、元の聖歌の最後のメリスマの部分であることが多かったので、クラウスラ(clausum, 閉じられた)という名前が付けられた。譜例18のグレゴリウス聖歌の旋律がこの譜例20の曲の基礎になっているが、"Domino"の部分がいわゆるクラウスラである。クラウスラはそれ自体だけでも演奏されて、1曲の完全なオルガヌムの代わりになる事も多かった。

元になる定旋律が、もはや何の曲なのか聴いただけではわからないようなメリスマ的な音楽が世を席巻していた中で、このクラウスラの作品は、定旋律の主旋律の冗長な部分さえも短縮して、主旋律そのものを浮きだたせていますね。そして、クラウスラのパートを歌ってみると実感しますが、上に書いたような限定されたリズムの中で、この声部の動きは素直であり、また音が行きたいところに自然と運ばれているような流れをもっていると感じました。



21. コンドゥクトゥス「新しい戦士が」
   Conductus "Novus miles sequitur"


この型のポリフォニーは、借用された定旋律はない。モテトゥスと違って全声部が自由に創作され、全声部は同じリズムで同じ歌詞を歌う。歌詞の付いていない部分、いわゆるカウダ(cauda)はおそらく楽器で演奏されたのだろう(メリスマとも考えられる)。

ひとつ前の曲で、歌と器楽とのアンサンブルで演奏してしまったのですが、本来はこちらのコンドゥクトゥスの方がそうすべきでした。上下のパートのリズムが同じなので、確固たる拍子感と共に躍動感があります。


余談ですが、この本の著者による序文にも書かれているとおり、これから音楽史を学ぼうとしている学生や音楽愛好家にとっては、非常に分かりやすく、しかも無駄のない簡潔な解説が各曲に書かれています。中世の音楽のそれぞれの様式の特徴を示す専門用語の解説についても、原語の元となる語源を示すことによって、より理解を深めます。いい本だと感じています。



楽譜は、アカデミア・ミュージックから1982年に徳永隆男・戸口幸策による共訳で1982年に出版された
五線譜でたどる音楽の歴史』を使いました。



使用楽器

   ソプラノ         モーレンハウエル   キンゼカー
   アルト          モーレンハウエル   キンゼカー
   テナー          モーレンハウエル    キンゼカー
   バス           モーレンハウエル   キンゼカー
   バス           ヤマハ          メイプル
   グレートバス      キュング         メイプル
   コントラバス       キュング         メイプル



Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m


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