◇IL DIVO◇ 2010 笛 ベスト20
Papalinが選んだ「2010年 笛のベストテン」をご紹介します。
何はともあれ、2010年、Papalinの音楽をお聴き下さった方に感謝致します。
本当にありがとうございました。m(_ _)m
恒例になりました、この一年間に増殖した作品で、
Papalinが選んだ"笛のベスト作品"を発表します。
今回は、ichiさんもベスト10を選んで下さいました。
私が選んでも、似たような選曲になったかも知れません。
そこで、選考基準における"演奏者として印象に残った作品"の比重をちょっと上げてみました。
笛版では、作曲家の生年順に紹介します。
そしてタイトルの通り、これまた10曲に絞るのは至難の技でした。
こんなもんかとリストアップしたら20曲だったので、そのまま載せます。多産の年だったしね。
皆さまの印象に残っている作品がございましたら、教えて戴けますと嬉しいです。
ズバリ、今年は、次の20曲(20作品)です。
(1) 中世~ルネサンス
01 12世紀 ペロティヌス / オルガヌム 「地上のすべての国々は」
02 13世紀 作者不詳 / Se ome fezer (アルフォンソ10世 「聖母マリアの賛歌」)
03 1300年 マショー / ノートルダム・ミサ
04 1481年 フレチャ / エンサラーダ "一騎討ち"
05 1500年 クリストファー・タイ / イン・ノミネより 第5番
(2) バロック
06 1653年 コレルリ / コンチェルト・グロッソ Op.6-8 (クリスマス協奏曲)
07 1680年 レイエ / 五重奏曲 ロ短調 【原調版 415Hz】
08 1685年 ヘンデル / ソナタ ヘ長調 Op.1-11
09 1685年 バッハ / オルガン小曲集より 「われら悩みの極みにありて」 BWV641
10 1685年 バッハ / チェンバロ協奏曲 第6番 BWV1057
11 1689年 ボワモルティエ / 5本のリコーダーのためのコンツェルト 第4番
12 1697年 クヴァンツ / トリオ・ソナタ ハ長調
13 1705年 シェドヴィル / ソナタ (ヴィヴァルディ 「忠実な羊飼い」第6番)
(3) 古典派~現代まで
14 1809年 メンデルスゾーン / 「神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか」 Op.78-3
15 1860年 マーラー / 「魚に説教するパドバの聖アントニオ」
16 1942年 田鎖大志郎 / 有元利夫 銅版画集 「7つの音楽」より エア
17 1947年 ブラッド / リコーダー・オーケストラのための マリンバ
18 1950年? マイク / ゴシック・バースデイ
19 1954年? ポール・クラーク / 「ボニー・タインサイド組曲」より "Sandgate ・・・"
20 1965年 斉藤 恒芳 / 「ダンス・クロニクル」より "木靴で踊る"
では、その理由などを簡単に・・・。
(1) ペロティヌス / オルガヌム 「地上のすべての国々は」
2010年は、中世の音楽に興味を抱いた年でもありました。この響きは巷にはそうはない響きです。更に印象に残っているのが、どのパートにも等しく楽しみを与えているアレンジの巧みさでした。
(2) 作者不詳 / Se ome fezer (アルフォンソ10世 「聖母マリアの賛歌」)
アルフォンソ10世 「聖母マリアの賛歌」も、中世の独特の響きがあります。エオリアンさんの楽譜はリコーダー・アンサンブル用なのですが、これを歌わないわけにはいきませんでした。4曲の中から1曲選ぶとするなら,番目のこの曲ですね。キリスト教の本国から少し離れたスペインの音楽というのも耳新しく感じました。
(3) マショー / ノートルダム・ミサ
この音にもヤラれました。当時はこうした音だとか終止へのもって行き方がスタンダードだったわけですから,ある意味では私たちが慣れ親しんでいるバロック以降の音楽の形の方が亜流なのかもしれません。歌ったらまた違う印象がありそうです。
(4) フレチャ / エンサラーダ "一騎討ち"
宗教劇につけられた音楽なのですが、その豊かなドラマティック性は、バロック時代には影を潜めてしまったのが残念です。ルネサンス時代の音楽、mollは敬虔な宗教曲、durは戦争モノが良いと思っているのは私だけかしらん?
(5) クリストファー・タイ / イン・ノミネより 第5番
地味なところから一曲選びました。メロン・シャンソンも捨てがたいのですが、イン・ノミネにちょっとだけ執心した歳でもありました。そんな中にあって、この第5番はリズムにも変化があり、前へ進む音楽を感じました。
(6) コレルリ / コンチェルト・グロッソ Op.6-8 (クリスマス協奏曲)
ここからバロックの作品となるのですが、作曲家の生年が150年も空いているのは興味深いところです。ichiさんもイチオシの曲ですが、ルネサンスの音楽とは違って、非常に劇的で、起伏に富んでいます。教えていたいてよかったなぁと、心から思いました。
(7) レイエ / 五重奏曲 ロ短調 【原調版 415Hz】
高校生の頃から知っていたレイエ。30年振りにソナタをはじめとして、レイエを楽しみました。そんな中でこの5重奏は初めてお目にかかる作品でしたが、それまでレイエに抱いていた音楽の軽さみたいなものが吹っ飛びました。
(8) ヘンデル / ソナタ ヘ長調 Op.1-11
ヘンデルのソナタへの取り組みもありました。1曲選ぶなら、Op.1-11でしょう。とても渋いのですが、大人の心のクレシェンドを感じる曲です。ソナタの伴奏をリコーダーで演奏するのにも慣れて来ました。
(9) バッハ / オルガン小曲集より 「われら悩みの極みにありて」 BWV641
バッハのロ短調ミサの続きはまたもや繰越となってしまいましたが、バッハへの取り組みも忘れられません。フーガの技法が完成したのも大きな実績ですが、バッハからは他の2曲を選びました。一曲目はオルガン小曲集。これは本当にリコーダー・アンサンブルに適した曲集だと思います。私がここで選んだのは、BWV641です。基本的に泣かせてくれる曲が好きなのですが、曲だけでなくて演奏も気に入っています。
(10) バッハ / チェンバロ協奏曲 第6番 BWV1057
バッハはヴァイオリン・ソナタも好きなのですが、もう一曲は"寝技のバッハ"を選びました。第1楽章、第3楽章、共に笑えます。もちろん演奏が・・・です。
(11) ボワモルティエ / 5本のリコーダーのためのコンツェルト 第4番
バロック音楽の演奏はハッキリ言って苦手です。では何が得意かと聴かれると答えに窮してしまうのですが、下手についてしまった癖は、なかなか直らないのです。欠点を挙げればきりがないのでやめまして、曲の話しをしましょう。5本のアルトリコーダー、つまり高々2オクターブの音域だけで作った音楽とは思えないですよね。
(12) クヴァンツ / トリオ・ソナタ ハ長調
多くは書きません。今年リアルで演奏できたらいいなと思っている曲です。
(13) シェドヴィル / ソナタ (ヴィヴァルディ 「忠実な羊飼い」第6番)
ヴィヴァルディの名で掲載しています。売れっ子作曲家の名を借りて出版するという気持ちはわかります。名が欲しいのではなく、評価が欲しいのでしょう。作曲者が曲に名を書き込んだのだって、マショーくらいからですからね。それまではAnonymusだったわけで、sれが当たり前だったようです。でもって、この曲はいい曲です。
(14) メンデルスゾーン / 「神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか」 Op.78-3
さて、古典派以降と題しましたが、また100年も空いてしまったのですね。モーツァルトもベートーヴェンも登場せず、いきなりメンデルスゾーンです。この3つの詩篇はどれも好きなのですが、この曲で、コントラバスの最低音より半音低い"E"の音を使うのが恐くなくなりました・・・ということで、第3番を挙げましょう。
(15) マーラー / 「魚に説教するパドバの聖アントニオ」
おそらく、IL DIVO Papalin 初登場の作曲家だと思います。「マーラーをリコーダーで?!」というのは私の第一印象と言いますか、そんな先入観があったものですから、これはまさに意外でした。Bein' Greenさん編曲のマーラーのシリーズは、今でも好きでよく聴いています。この"魚に説教する・・・"は、演奏も大変でしたが、完成の喜びは逆に大きかったと言えますね。
(16) 田鎖大志郎 / 有元利夫 銅版画集 「7つの音楽」より エア
歌編と笛編のベスト作品の発表では、逆立ちしても入れないのがこの曲ですね。(^-^ ) もちろん、リコーダーの演奏版でも良いのですが、折角なので、スピネットの多重録音というのを選ぶことに致しましょう。
(17) ブラッド / リコーダー・オーケストラのための マリンバ
ほとんど偶然に出会った楽譜だったのですが、14重奏というのに興味を示し、重ねてみました。正直言いますと、14パートを重ねたにも関わらず、まだ次のメロディらしいパートが残っているのではないかと疑いました。しかしながら、出来上がった作品を何回か鑑賞してみますと、これで完成なのだという感じがしてきました。
(18) マイク / ゴシック・バースデイ
知人の誕生日にCDに焼いてプレゼントしたんですよ。CDのタイトルは、「嫌っちゅうほど ハッピー・バースデイ」。大変受けました。(^-^ ) 一曲挙げるとするなら、ゴシック・バースデイですね。エフェクトも効果的でしたか?
(19) ポール・クラーク / 「ボニー・タインサイド組曲」より "Sandgate ・・・"
これはリコーダーのために書かれた曲で、現代でもこうした素晴しい作品が生まれているということを知った作品でもありました。選んだ第2曲を8フィートで演奏したのは私の感性ですが、悪くないと思っています。低音の魅力を余すところなく発揮している曲だと思いました。願わくば、軽めの音のテナーは要らないですね。
(20) 斉藤 恒芳 / 「ダンス・クロニクル」より "木靴で踊る"
斉藤さんの「4つのタブロー」と「7つのタブロー」は人気なので、あえてこちらの「ダンス・クロニクル」を選んでみました、そう、ひねくれ者です。ダンス・クロニクル、踊りの年代記とでも訳しましょうか、それをダンス・ミュージックではなくて作ってしまったというのが凄いなぁと思います。でなければ"ベッドの中で踊る"なんて発想はないでしょう。
ということで、W215の「風変わりな作品」からの選曲が随分とあったのには驚きました。
2011年は、後期ルネサンス~初期バロックの音楽、古典派の音楽の穴も埋めたいですね。
お付き合い、ありがとうございました。m(_ _)m
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この記事へのコメント
ichiさん、ありがとうございます。
そうですか。してやったりですね。ヾ(´▽`;)ゝ
2010の特徴の一つは、やはりこうしたIL DIVO Papalinにとっての"古くて新しい音"、だったと思います。たまたま作曲家の生年順に並べたので、初っ端に来ましたが、それだけのインパクトのある曲でした。
> 演奏者の選ぶものは、ためになりますね。
ありがとうございます。
ためになるかどうかは定かではありませんが、私たちが絵を観るのと、その絵を描いた画家の思いが異なるのと似ているかも知れませんね。
話は変わりますが、このベストテンのブログは大変です。準備に非常に時間がかかり、執筆にも時間がかかり、リンクのチェックにも時間が掛かり・・・私向きではありませんわ。
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PS:そうそう。新しい大河ドラマに、ichiが登場してます。
(。^。)コケ!