受け入れるしかない

毎朝確認することは、病状の進化衰退。


6月22日(火)

規則では夜9時には消灯しなくてはならない。それが病棟生活だ。
とはいうものの、眼の疲れは自然と意識を失わせる。

10時前にはぐっすり睡眠に入ってしまう。すると目覚めは朝5時前。
目が覚めると、やはり眼の状態を確かめたくなる。

病室に横たわって見える天井、壁、それらはまったく静止している。
でも、右を下にして寝ると、それらは二重になる。

『あぁ今日も複視。同じだ。』
そんな思いを3回した。

しかし僕には確かめなくてはならない自己検査がある。
そっと病院を抜け出して、散歩をする。

「施設内禁煙」を忠実に守る、敬虔な患者の病状自己検査。
敷地外までのトリップ・フォア・スモーキン。

朝5時の検査は、ブユとの戦い。立ち止まっての喫煙は許されない。
病院に面した道路をひたすら歩き回って検査するのだ。

歩く≒静止画。
とてつもなく辛い。でも煙草は旨い。

二日酔いなんて、かなりマシだと思う。
四六時中モノが二重に見えるってことは、かなり辛い。




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【 庭のポールズ・ヒマラヤン・ムスク。我が家のは、やっと一輪咲いたって。 】





症状が出てから今日で4日目。
さすがに奇跡は起こりそうもなく、諦めるしかなかった。

昨日よりも増して、あれこれ考えを巡らす。
生活においての支障は、とにかく移動だ。

仕事のこと、家庭生活のこと、趣味のこと・・・。
自分の状態を検証しながら、症状を緩和させる方法を見つけながら・・・。

デスクワークならできそうな気がする。今日一日、意図的にPCと対峙している。
通勤をどうするかを除いて、職場に着いたら何とか仕事ができそうだ。

では、大好きな音楽は続けられるのだろうか?
楽譜は読めるだろうか、指は動くのか、タンギングに支障はないか。

それは帰って確かめることにした。
そして、本が読めることを実感した。これはありがたいことだ。

いつもの3倍くらい疲れたけれど、読みたかった本が2冊読めた。
そしてもう一冊、妻が持ってきた予定外の旅の本も読めた。




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【 入院4日間で、見事に姿を変えたルピナス。元気づけられた。 】





病院のTVは、1時間100円だった。
PC(インターネット)は、10分100円だった。

仕事とも、ネットとも、離れた生活が送りたかった。
そんな4日間なんて、今どきなかなか経験できないから。

普段からTVは見ないほうではあるけれど、
ニュースも全く見ないというのは、初めての経験かもしれない。

田舎に住んではいるものの、デジタル社会の恩恵を受け、
本当に何不自由なく、都会での生活とあまり変わりない生活をしてきた。

でも、本当の田舎生活って違うよな。
薪割って、作物を育て、花を愛で、雨が降ったら本を読む。

そんな忘れかけていた生活を、懐かしむと共に、
そういう生活をするんだと、改めて心に決めた。




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【 お前は園芸種? 元の原種に戻りたくはないか、トラディスカンティア? 】





演繹的にではないが、経験則がものをいう。
どうすれば複視が和らぐか、それは修得すべき第一義だ。

いろいろ試した。
その結果、首を左に傾けて歩くと、像が一つになることがわかった。

医者には、複視を避けて眼帯をしたり、片目を瞑ったりすることは
よくないことで、まずは受け入れて慣れることだと説かれた。

もっともだ。
それと、自分にしか解決できない方法を見つけることだ。




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【 花時計は止まっていた。こんなことでも、充分に示唆に富んでいる。 】





病状が安定しているので、ひとまず退院した。
来週またMRI検査を行なう。密度をあげて。

脳内の神経に異常が起こったことは紛れもない事実だろう。
そしてそれは取り除くことができないのも当っている。

ならば、先を考えるしかない。
どうやって"こいつ"と上手く付き合っていくか。

まだ40代だ。老け込んでなんかいられない。
僕にはやりたいことがまだ山ほどある。




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【 疲れたら、あのベンチに座ればいいさ。 】





読みたかった一冊、『1Q84』の3冊目が読めた。
1984年は自分の人生の中で、特別な年でもあった。

物語の舞台、1984年の晩秋から年末にかけて、
僕には一つの試練があった。乗り越えられなかった。

あの頃は、月が二つなんてあり得ない話だと、
鼻で笑っていた、決め付けていた。

今は --- あはははは。どうみても月は2つ浮かんでいるさ。
何言ってるの? そんなの当たり前のことじゃん。(^-^ )




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【 第一巻 おしまい 】






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この記事へのコメント

nyankome
2010年06月23日 23:10
ご無沙汰している間にこんなことになっているなんて!
前向きなPapalinさんの文章を拝見して安心しましたが、内心はさぞかし不安で一杯だろうと思います。
私も一昨年胃癌の兆候が発見され、不安で一杯でした。
幸いその後は安定していて、今すぐ手術ということにはならなかったのですが、定期的に生体検査が必要です。
歳を重ねてくると、こういった身体の不調とも付き合っていかなければいけません。
私もまだまだやりたいことはたくさんあります。
まだくたばるわけにはいきません。
お大事になさって下さい。
2010年06月24日 00:44
>今は --- あはははは。どうみても月は2つ浮かんでいるさ。
>何言ってるの? そんなの当たり前のことじゃん。(^-^ )

ですよね(・・;)。
てことは1Q84の方におられるでしょうか?
でも、帰って来て下さい!
1984の後に続く2010に!
2010年06月24日 01:08
 突然のことで、記事を読んで驚きました。お見舞い申し上げます。
 原因がはっきりしないうちは、不自由があるだけでなく、気持ちも落ち着かないことと思いますが、お体を大事にお過ごしください。
 一日も早く原因が特定され、治療が始まり、症状が快方に向かいますよう。
ちょろえ♪
2010年06月24日 14:19
驚きで、ウルウルになりながら読み進みました。
心から、お見舞い申し上げます。
奥様もさぞかしご心配なさっていることでしょう。

あのー。私もお願いがあります。
煙草、私のために、もう一本だけ減らしてくださいませんか。
(それがストレスにならなかったら・・なのですが。)

一日も早い回復を、祈っています。
無理だけは、しないでくださいねっ!
Papalin
2010年06月25日 18:51
◆◆ 内心はさぞかし不安で一杯だろう

nyankomeさん、ありがとうございます。
そうですね、不安でないと言ったらウソになります。
精密検査で原因がわかったとしても、原因を取り除くことはできないので、これからどうやって付き合っていくかですね。腰と首の椎間板ヘルニアも、この先ずっとお付き合いしていかねばなりません。どう上手に付き合っていくのか、考えて行動してきたつもりです。そうした経験があるので、今回もさほど悲観的には考えていません。半年とか一年とかで、病状が良くなるケースもあるみたいなので、過度な期待はしませんが、もし快復したら、健康のありがたみを感じるんだろうななんて思っています。

nyankomeさんの告白にも驚いてしまいました。
僕らは、日本の食べものが、食物から食品に変わった時代に成長してきた世代です。いわば薬漬け。身体のチェックはまめにしていきましょうね。
 
> 私もまだまだやりたいことはたくさんあります。
> まだくたばるわけにはいきません。

いいな、この文章! (^-^ )
 
Papalin
2010年06月25日 18:53
◆◆ 帰って来て下さい! 1984の後に続く2010に!

書記さん、ありがとうございます。

ほうほう。 (=^_^=)
 
Papalin
2010年06月25日 18:57
◆◆ 症状が快方に向かいますよう。

Noraさん、ありがとうございます。
この一週間、日ごとにものの見え方が微かに違いました。
地震の震度に例えるなら、昨日は震度2くらいだったのですが、今日は震度4です。でもこうして椅子に座ってPCに向かって、一定の距離にピントを合わせるのはできるんです。歩くのは最悪ですけどね。

今日は楽譜をみるのがちょっと辛かったです。
明日の横浜みなとみらいでのコミングルの顔合わせ&練習は、欠席させて戴くことにしました。迷惑をかけてしまうのが辛いです。
 
Papalin
2010年06月25日 19:07
◆◆ 無理だけは、しないでくださいねっ!

ちょろえ♪ちゃん、ありがとうございます。
最近、蓼科まで遊びに来たんだって?
無理して、寄ってくれればよかったのに。顔、見たいよ。

僕の方は、無理してはいないと思います。
医師からは「慣れることが必要です」と言われていて、慣れるためには、色んなことをしないといけないと思って、今日は草刈機で除草しました。大地は揺れていましたが。慣れないとね。~(m~ー~)m
 
たまき
2010年06月25日 21:06
私も 1Q84の3冊目 読んでいます♪ 通勤途中にしか読めなくて なかなか進みませんが やっとあと三分の一の所まできました! 1984年。。。まだ高校生でした。。。 今や老眼。。。 年とりました~~ でも 悪くない今です。。。気の利いたことなど何も言えないのですが Papalinさんも どうぞ お元気でいてください☆
Papalin
2010年06月26日 08:59
◆◆ 1984年。。。まだ高校生でした。。。

たまきさん、ありがとうございます。
たまきさん、若い!
ちなみに僕は新入社員でした。
1Q84の3冊目の舞台である晩秋~暮れにかけては、仕事の大変な時期だったことを覚えています。

> 年とりました~~ でも 悪くない今です。。。

いいですね。
男も女も、40過ぎたらちゃらちゃらしてられません。
可愛いとか綺麗だけでもてはやされる年齢を過ぎたら、中身がより問われますね。そういう意味では私などまだまだですが、悪くない今と仰るのが何よりです。

> お元気でいてください☆

はい、あと数十年は達者で暮らしたいと思ってます。(^-^ )
 
siena
2010年09月12日 10:28
お久しぶりにお伺いしまして、
びっくりいたしました。

不安な日々を過ごされたことでしょう。
どうかお大事になさってくださいね。

私も年を重ね、だんだん体に故障が出てまいりました。
10月の誕生日で○○才になると知り、受け入れられず、気絶しそうでした。
気持ちは二十歳何て言っている場合ではなくなりました。

お互い、人生を走りすぎないよう、ゆっくり進んでまいりましょうね。
Papalin
2010年09月13日 20:49
◆◆ 受け入れられず、気絶しそうでした。

Sienaさん、ありがとうございます。
原因がはっきりせず、慢性的な頭痛が断続的に続いていて、何とも嫌な毎日を過ごしています。でも、受け入れるしかありませんね。(^_^;)

大台ですか?
大したこと、ないですよ。
年齢に相応しい人生を送っておられるではないですか!