《本のレビュー》 『岩城音楽教室―美を味わえる子どもに育てる』 岩城 宏之 著

画像先だって亡くなられた、NHK交響楽団をはじめとする世界のオーケストラで棒を振られた、指揮者の岩城宏之さん。僕は彼の指揮振りが大好きでした。

小澤征爾、故山本直純との3人組は、3人とも大好きでした。岩城さんは、目をひんむいて、汗水をピャッピャッって飛ばしながら、歯を食いしばって指揮をする、あの姿がまずは何と言っても面白かったですね。いま人気絶頂の指揮者:佐渡裕さんのダイナミックな指揮姿は、元を正せば岩城さんの振り方ですよね。岩城さんが東京混声合唱団の指揮をされていたのは、つい最近になって知ったことでした。

その岩城さんが、クラシック音楽界、ひいては日本の音楽教育に"ダメだし"を堂々と行なった本がこれです。発行当時は、岩城さんの命を心配する人も出たとか。(笑)

本の中身はう~んと唸ること、しばしばでした。

日本の学校では、楽しみがわからないうちに、めんどうな楽典から入るのがあたりまえのように行なわれています。名曲を聴かせたら、人さまざまな受けとめ方にまかせればいいのに、感想を言わせて採点する。ひとつの方向に揃えて聴かせようとするのは作曲者や演奏家にとっても悲劇的なことで、まして聴く者にとっては地獄でしょう。他人の感受性に対して、神様ならぬ人間が、点をつけるということが許されるのでしょうか。出来、不出来の評価をしていいのは、プロに対する場合だけです。


これを読んだときに、あぁ今のクラシック音楽ファンの大人が、ほぼ全員がにわか評論家になっちまって、演奏することより、感動を伝えることより、評論することの方が好きになってしまったり、はたまたコンサートに行っても感動する姿を見せるのが憚られ、ミスの数だけ数えているような向きの音楽家の卵を生み出しているのは、音楽教育のせいか・・・と思いました。

クラシック音楽専科のブログが結構あって、○○コンサートにいきました・・・というようなブログが幾つかあるのですが、演奏の欠点ばかりを指摘していて、感動の"か"の字もないブログを読みますと、がっかりしてしまいます。誰もが音楽を演奏する立場にあるわけではありませんが、演奏する人も、音楽をこよなく愛して聴かれる人も、もっとご自分の心の奥底に素直になればいいのになぁとずっと思っていました。逆に、私のブログにもお越し下さる方々もそうですが、音楽を聴いて感動したということを素直に書かれているブログに伺いますと、僕もその曲を、その人の演奏を、聴いてみたくなります。

そうして良い音楽(これも変な言い方ですが・・・)を草の根でもいいから発信できて、誰かにそれが届いて、その人の心に入っていったりしたら、こんな素晴しいことはありません。

岩城さんの説、僕の見方、それらはちょっと過激な見方かもしれませんが、クラシック音楽に関わらず、音楽(すること)って、本来楽しいことのはずです。音を楽しむって書くのですから。


岩城 宏之 著 『岩城音楽教室―美を味わえる子どもに育てる』 


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この記事へのコメント

まーさ
2007年07月01日 09:48
岩城 宏之さんは「棒振りの○○」シリーズが凄く面白いですよ♪
この本もいずれ読もうと思っていたリストに入っています。
Papalin
2007年07月01日 11:13
◆◆ 「棒振りの○○」シリーズが・・・

まーささん、ありがとうございます。
今度読む本が決まりました。
貧乏なので、ブック○フで探します。(笑)

先日は鋭いご指摘を有難うございました。
朝一番で、コメントを拝読したときは、
ちょっとくら~くなりましたが、
ありがたいことでした。

「注意して直したらもっと良くなる」とか、
「音程が悪いので聴くに耐えない」とか、
言葉の続きがあるともっと嬉しかったです。

甘え過ぎ?
 
2007年07月01日 11:13
教育現場もいろいろですけどね。
現場からサヨナラして◯年。いまや、小学校でも中学校でも楽典に類するものはほとんど教えていないようです。◯長調や△短調といった言葉はもちろん、階名唱さえしないそうです。それってどうかと思うんですけどね。
原因は、授業数の減少。そんなもの教えてる場合じゃない、歌ったり、演奏したり、鑑賞したりをたくさんしよう、ってことだそうです。それならなおさら、そんなものをどうやってペーパーテストで点数つけんのか? と首をひねります。

Papalin
2007年07月01日 15:43
◆◆ 教育現場もいろいろです・・・

ねこまっくさん、ありがとうございます。
なんだかなぁ。右に左に大きく振れ過ぎるって感じですよね。長調、短調、ドレミもですか・・・。

音楽にペーパーテストってのも、何だか変ですね。どうやって成績つければいいんだろうか。音楽こそ絶対評価でいい気がします。でもどうやって? 考えると、結構難しいですね。
 
まーさ
2007年07月01日 22:53
あぎゃ。失礼いたしました。
なんちうか、、多分酔った勢いです。。


思い出せない自分の記憶力が既にだめぽ
Papalin
2007年07月02日 07:49
◆◆ 多分酔った勢いです。。

まーささん、ありがとうございます。
私は休肝日が一日もなくてね。たまにあっても、用事でその日のうちに飲めなくて、24時を回って飲み始めたとき。(全然、休肝になってない)

肝機能、お互いに要チェックですね。
(^-^ ) ニコッ
 
2007年07月02日 11:11
こんにちは。私もこの本を数ヶ月前に読んだところです。

30年ほど前の本ですよね。今読んでも非常に興味深い点が多くあって、音楽がますます好きになってしました。

音楽は演奏するにしても聴くにしても、「楽しさ」が基本にないと、どこかで歯車が狂ってくるのかもしれません。
2007年07月03日 08:35
うんうん、とうなずいています。
Papalin
2007年07月03日 21:07
◆◆ 「楽しさ」が基本にないと・・・

ピースうさぎさん、ありがとうございます。
この本、最初は雑誌に連載されたようですね。でも、時と共に消え去る雑誌ではなく、本にしたかったという思いがあったようです。岩城さんの弁を借りますと、単行本ではないから、まぁいっかって。(笑)

楽しさあっての音楽ですね。
 
Papalin
2007年07月03日 21:34
◆◆ うなずいています。

takasiさん、ありがとうございます。
楽しくなければ音楽ではない!
papalinは、そう言い切りたいと思います。切なく、悲しく、どうしようもなく辛い曲であっても、そうした曲と出会って苦悩している自分が楽しい・・・。ちょっと変ですかね。
(o^<^)o クスッ